[ふ]
負担付贈与 受贈者が贈与者又は第三者に対して一定の義務を負担するという特殊な贈与契約(民法第553条)。贈与契約ではあるが、受贈者の負担の限度において対価関係があると考えられるので、同時履行の抗弁権、危険負担、解除等、双務契約の規定が準用される。
普通株式 (1)株式の内容について、特別の定めがされていない株式。種類株式を発行する定めのない会社の株式。会社法上の用語ではない。
(2)内容の異なる数種類の株式を発行する場合に、標準となる株式。この場合の普通株式は、「種類株式」である。会社法上の用語ではない。
(→優先株式)(→劣後株式)(→議決権制限株式)(→譲渡制限株式)(→取得請求権付株式)(→取得条項付株式)(→全部取得条項付種類株式)(→拒否権付株式)(→役員選任権付株式)
普通失踪 利害関係人の請求に基づき、家庭裁判所により失踪宣告がなされる場合のうち、不在者の生死が7年間明らかでない場合(民法第30条第1項)。失踪の宣告を受けた者は、この期間が満了した時に死亡したものとみなされる(民法第31条)。
普通地方公共団体 都道府県及び市町村(地方自治法第1条の3第2項)。普通地方公共団体には議決機関として議会が、執行機関として長がおかれ、議会の議員及び長は、どちらも住民の直接選挙によって選出され(日本国憲法第93条)、国における内閣総理大臣が国会の選任によるのと異なる。地方公共団体は、財産管理、事務処理、行政執行、法令の範囲内において条例制定の権能を有する(日本国憲法第94条)。(→特別地方公共団体)
物上代位 担保物権の目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対して、担保権を行使すること(民法第304条)。担保権者は、担保物権の目的物に代わるものの払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
物上代位性 担保物権の目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、担保権を行使することができるという性質。物上代位性は、抵当権、質権、先取特権につき共通に認められ、留置権には認められない。(→付従性)(→随伴性)(→不可分性)
物上保証人 他人の債務を担保するために、債権者との間で、自己の財産に質権、抵当権等の担保権を設定した者。物上保証人は、直接債務を弁済する責任を負わず、主たる債務者が債務を履行しなかった場合に、自己の財産に設定された担保権が実行される負担を負う。
物上保証人は、その債務を弁済し、又は当該担保権の実行によって目的物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する(民法第351条、第372条)。物上保証人は一定の場合に債権者に代位する(民法第501条)。(→代位弁済)(→保証人)
物的分割 会社分割に際して、承継会社又は新設会社の株式を、分割会社(会社分割により、自社の権利義務の全部又は一部を、他の会社に承継させようとする会社)自身に割り当てるもの。会社法施行前における人的分割に対比して用いられていた。分社型分割ともいう。
仏滅(ぶつめつ) 六曜のひとつ。仏も滅するということから、全てにおいて凶であり、結婚式などの慶事は避けられることが多いが、葬式や法事などはかまわないとされる。(→先勝)(→友引)(→先負)(→大安)(→赤口)
不動産質権 不動産(土地、建物)をその目的物とする質権(民法第356条〜第361条)。不動産質権の設定においても、目的物の引渡しにより効力を生じる(民法第344条)。不動産質権の第三者に対する対抗要件は、登記である。不動産質権者は質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができ、管理の費用、その他不動産に関する負担を負い、利息を請求することができない(民法第356条〜第358条)。これらの使用収益、管理費用等の負担、利息の請求に関する規定については、別段の定めがあるとき、又は、担保不動産収益執行が開始された場合には、適用されない(民法第359条)。不動産質権の存続期間は、10年を超えることができず、更新をすることができるが、その存続期間は、更新の時から10年を超えることができない(民法第360条)。不動産質権については、不動産質権に関する規定(民法第356条〜第361条)の他、その性質に反しない限り、抵当権の規定が準用される(民法第361条)。
不動産登記規則 平成17年2月18日法務省令第18号。不動産登記につき、登記記録の記録方法その他登記事務に関する必要な事項を定めた省令。不動産登記法及び不動産登記令の施行に伴い、不動産登記法施行細則(明治32年5月12日司法省令第11号)から全面改正された。本規則の上位には、法律たる不動産登記法及び政令たる不動産登記令があり、下位には、通達たる不動産登記事務取扱手続準則がある。
不動産登記事務取扱手続準則 平成17年2月25日民二第456号。不動産に関する登記事務の取扱いについて定めた通達。不動産登記に関し登記官が採るべき手続き等について、具体的に定められている。平成17年3月7日の改正不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)の施行に伴い、旧不動産登記事務取扱手続準則(昭和52年9月3日民三第4473号)が全部改正された。本準則の上位には、法律たる不動産登記法、政令たる不動産登記令及び省令たる不動産登記規則がある。
不動産登記法 平成16年6月18日法律第123号。平成17年3月7日施行。不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めた法律。登記の正確性を確保しつつ、国民の利便性の一層の向上を図り、高度情報化社会にふさわしい制度とするため、旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)から全面改正された。主要な改正点は、
1.オンライン申請の導入と出頭主義の廃止
2.登記済証に代わる登記識別情報の制度の導入
3.保証書制度の廃止、強化された事前通知制度、資格者代理人による本人確認情報の提供制度の導入
4.登記原因証明情報の必須化
5.紙の登記簿から磁気ディスク登記簿への一本化、地図の電子化
6.法文の現代語化
などである。
また、平成17年の改正により、筆界特定制度が新設された。
不動産登記法施行細則 明治32年5月12日司法省令第11号。平成17年3月7日廃止。登記簿の調整、登記申請の手続き等の細則が規定されていた法務省令。平成17年3月7日の改正不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)の施行に伴い、「不動産登記規則(平成17年2月18日法務省令第18号)」として、全面改正された。
不動産登記法施行令 昭和35年8月5日政令第228号。平成17年3月7日廃止。旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号)の規定に基づき、土地の地番、地目、地積、建物の家屋番号、種類、構造、床面積等に関する規定がされていた政令。平成17年3月7日の改正不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)の施行に伴い廃止(全部改正)され、本政令に規定されていた事項は、不動産登記規則(平成17年2月18日法務省令第18号)に規定された。
不動産登記令 平成16年12月1日政令第379号。不動産登記法の規定に基づき、不動産についての登記に関し必要な事項を定めた政令。不動産登記法施行令(昭和35年8月5日政令第228号)から全面改正され、旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号)に規定されていた登記申請書の記載事項や添付書面に関する事項が規定された。本令の上位には、法律たる不動産登記法があり、下位には、省令たる不動産登記規則及び通達たる不動産登記事務取扱手続準則がある。
不動産の先取特権 債務者の特定の不動産を目的とする特別の先取特権で、「不動産保存の先取特権」「不動産工事の先取特権」「不動産売買の先取特権」がある(民法第325条)。「不動産保存の先取特権」は、不動産の保存等のために要した費用に関し、その不動産について存在し、保存行為後直ちに登記をすることにより効力が保存され、登記された抵当権に優先する(民法第326条、第337条、第339条)。「不動産工事の先取特権」は、工事をする者が、不動産に関してした工事の費用に関して、その不動産について存在し、工事を始める前に費用の予算額を登記することにより効力が保存され、登記された抵当権に優先する(民法第327条、第338条、第339条)。「不動産売買の先取特権」は、不動産の売買代金等に関し、その不動産について存在し、売買契約と同時に、不動産の売買代金等の弁済がされていない旨を登記することにより、効力が保存され、抵当権との優劣は、登記の前後による(民法第328条)。不動産の先取特権が競合する場合、優先順位は、「不動産保存」「不動産工事」「不動産売買」の順序となる。
不動産番号 不動産を識別するために必要な事項として、1筆の土地又は1個の建物ごとに、表題部に記録される番号、記号その他符号(不動産登記規則第1条第8号、第90条)。不動産登記申請をする際に、不動産番号を記載すれば、所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積等の表示を省略することができる(不動産登記令第6条)。
不当利得 法律上の原因なく、他人の財産又は労務によって受けた利益のことで、その他人に損失を及ぼした者は、その利益の現存する限度において返還する義務を負う(民法第703条)。利益を受けることについて、法律上の原因がないことを知りながら利益を受けた受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならず、又、損害がある場合は、その損害を賠償する責任を負う(民法第704条)。
特殊な不当利得として、債務の不存在を知ってした弁済(狭義の非債弁済)、期限前の弁済、他人の債務の弁済が規定されている(民法第705条〜第707条)。(→不法原因給付)
不当労働行為 労働組合の組合員や労働組合活動等に対する使用者の不当な行為。 勤労者の団結する権利、及び、団体行動をする権利は、憲法により保障され(日本国憲法第28条)、労働組合法は、労働組合の組合員であることや労働組合活動を理由として解雇その他の不利益な取扱いをすること、労働組合に加入しないこと等を雇用の条件とすること、正当な理由なく団体交渉を拒否すること、労働組合に対する支配・介入・経理上の援助をすることなどを、不当労働行為として禁止している(労働組合法(昭和24年6月1日法律第174号)第7条)。
Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved